句の後ろは、句会での題詠となります。

出所後も健康のため麦を食べ     麦

首と胴所轄の違う岸へ寄り    ばらばら

恐れ入りますが私の財布です    控え目

アリバイは西村京太郎を真似   アリバイ

盗癖も少し持ってるコレクター    蒐集

引き金に指出すんなら今のうち    急ぐ

じきに夜が明ける現金だけにしろ せっかち

筆まめの空き巣売上帳を付け     丁寧

盗みに入ったら死んでいたんです   発見

鏡見て結婚詐欺は諦める       断念

交番に手配写真に似た巡査      偶然

触ったかどうか酔ってて知りません  不覚

口が軽くて共犯に誘われず       口

見てなさいこの金庫なら十五分    自信

お尻には触ってません僕はスリ   人違い

捕まった痴漢見てから僕は止め  他山の石

万引きは二度としませんこの店で    引

仲裁に割って入って二度ぶたれ  巻き添え

趣味のいい空き巣掛け軸まで外し  変り種

会長と社長で小菅混んでくる   千客万来

万引きの動機に泣ける十二月     年末

示談金瘤が引っ込む前に決め      瘤

調べ室私は誰ここはどこ     とぼける

雑居房一人人生論を読み      変り種

網走の寒さが模範囚にさせ      培う

親切な声で介抱泥が寄り       狙う

振り向いた顔に痴漢の手が縮み    正面

親分の出所べんつに迎えられ    羽振り

雑居房結婚詐欺が今日入り      異色

ピストルで行くほかはない預金高  やろう

助けてと言ってるらしい猿轡     願い

親分が代わり差し入れ遅れがち  差し入れ

空き巣にももう五時ですと鳩時計   役割

恐喝が返す帰りの電車賃       良心

山分けにしたのに俺がなぜ主犯     罪