句の後ろは、句会での題詠となります。

胸像でばかり社長は笑ってる   にこにこ

名刺貰うとこの人も社長さん     名刺

汗かいていると社長が褒めてくれ    汗

私ではどうも社長は小菅です    大黒柱

宴会の芸で社長に覚えられ     見直す

朝礼で社長が吼える前年比      社長

新しく入った美人とは君か     眺める

窓際が空いたあんたが埋めなさい   異動

人事課は俺を端歩と思ってる    冷たい

殺したい奴が会社に二人居る     怒る

セクハラの上司の湯呑み濯がない   反撃

リストラに遭って妻にも出て行かれ どん底

年俸も十二で割るとこれっぽち    愚痴

時給には評価されない汗をかき     汗

笑ってる事務所所長が留守らしい   和む

ドアチェーン越しにセールスあしらわれ 鎖

円満に退社と社内報は書き     怪しい

五時までは妻を専務と呼んでいる  けじめ

朝礼で和製英語に叱咤され     気合い

引き算の多い給料明細書       引く

下請けを泣かせたと社史書いてない  歴史

失業率ニートは入れてありません トリック

屋台曳く覚悟脱サラ頼もしい  折句やかた

契約が取れず名刺と靴が減り     名刺

下請けへ丸投げをしてビルが建ち  投げる

定年を刑期のように妻が待ち   ひしひし

内定が社のお花見に呼び出され    咲く

面接で吉本行きを勧められ      異彩

妻に似た秘書を口汚く叱り    そっくり

裏門の守衛の方がわからず屋     裏門

重い荷の着く日にバイト出て来ない   荷

親切な上司やっぱりホモでした   優しい

ドラフトに比べて僕の初任給    雀の涙

前歴を聞くと守衛は嬉がり     訊ねる

内堀も外資が埋めてから気付き  うっかり