句の後ろは、句会での題詠となります。
袖畳みする間も話す妻の客 女同士
躾糸娘の裾に母が這い 新しい
人絹も母の箪笥の底に住み ひっそり
呉服屋にそそのかされて肩へ掛け 言いなり
股引を脱いだ日歩幅広くなり さわやか
毛皮まで買わせて鍵をまだ呉れず 毛皮
ブランドで六頭身の身を包み 贅沢
半袖の季節で肘をよく洗い 半袖
真夏日の予報股引脱ぐと決め 天気
ブランドのシャツとは違う鰐の向き コピー
肩幅の途中に衣紋掛けの跡 つっぱる
その上に母はコートを着せたがり 心配
リクルートスーツ個性を包み込み 包む
原色を着ている妻に二歩遅れ 差
ブランドの鎧で女身を守り 装い
ジャンパーで行って背広に言い負ける 差
視察団軍手も白いまま終わり 軍手
ジーパンを繕って母叱られる ぼろぼろ
スカートの下へ百円玉転げ ちょっと失礼
Mを見てるとLLもございます 貫禄
このあいだもてた皮ジャン着て出掛け 皮
膝の出たズボンをペンキ塗りに置き 塗る
合成の皮ジャンだなと着せ掛ける 手触り
万歳も背広が傷まない程度 万歳
巣鴨仕込みのファッションで若返り 見違う
ネグリジェで見送ってまだ寝るらしい 休養
黒を着た時ばかり会う又従兄弟 遠縁
じき妻が帰ってきます穿きなさい もうすぐ
モデルには似合うが妻にどうかなあ 塑像
母の言う通りに着ると汗をかき 善意
妻に柄選らすと安い方にされ ショッピング
そのシャツで行くなら僕はお留守番 大胆
物干しの作業ズボンに膝の位置 出る
安かったナイキのマーク逆を向き 安物
ウエストが想像できるものを干し ゆったり