句の後ろは、句会での題詠となります。
錦織る職人にして貧しかり 錦
値切られたこと職人の手が忘れ 頑張る
結び目を褒めると昔鳶でした 結ぶ
忙しいハンコ屋片目だけ疲れ 彫る
安い仕事だなと万力も感じ 挟む
この路地に箪笥屋が住む鉋屑 路地
まだやってますかとブリキ屋が聞かれ 聞く
妻と子に仕事一途を馬鹿にされ 生一本
宮大工ですからと言う坪単価 和風
孫請けに来るまで単価大分痩せ 弱者
一鉋削ってみたい妻の顔 削る
水牛を飾りゴム印ばかり売れ 段違い
バーナーで豆腐に向かうサディズム 豆腐
坪単価忘れた長い鉋屑 度外視
痛がるとツボですからとマッサージ 強力
刀匠の作務衣火の粉で穴が開き 浴びる
船頭の指図で座る舟下り 乗る
植木屋が三時の腰をまだ上げず 骨休め
職人も約手を貰う世となりぬ 職人
この単価ではと下請け言い出せず 言いなり
プレス屋の景気を揺れで知る隣り 揺れる
下塗りの品催促の客に見せ 未完成
公害の記事をメッキ屋避けて読み メッキ
本漆ですと蒔絵の値を引かず 漆
定年のないハンコ屋の背が丸い 前屈み
少しいい気分で自由業と書き 職
疲れるとサクラに廻る叩き売り 仲間
紙の値が上がると毎度お騒がせ 回収
甘い罠モデルになってみませんか 口説く
君ならばきっとホストで稼げます 優しい
陰気だが事故係にはうってつけ 人材
扶養家族が多くってまだ勤め 背負う
集金に行くと社長は小菅です 社長
怒鳴っても電気鉋に聞こえない 大声
職人に週休二日さす不況 休む